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加齢黄斑変性 [病気の話]

先日(と言っても今年の初旬)に、偶々テレビを見ていると某テレビ局の〇〇が見つかる診〇所。
加齢黄斑変性のタイトルだったので翌日の外来に患者さんが大量に受診する事が多いので見てると加齢黄斑変性の専門家でもないH医師がお話しているのを見てビックリ。
ずっと見ているとOCT(最近では殆どの眼科に置いてある網膜というカメラのフィルムの断面図を撮る器械です)の映像が。
どう見ても黄斑上膜と言う眼底に膜が張ってる写真。
それも手術適応がないような薄い膜でした。
ただ、眼底が醜い程度の白内障があったようで他の写真の鮮明度が酷くボヤけてました。
「様々な病院で治療困難と言われたこの方の黄斑上膜と内境界膜を除去し網膜下の出血を引かせることが出来ました」と。
???
断層写真に網膜下の出血も見当たらないので、白内障しただけで視力は上がります。
???

ダメだろこりゃ。テレビで嘘を放送したら。

と思ってたら日本眼科学会からクレームが入りました。

良かったと思っていたのですが最近部下からその話が出て再度テレビ東〇の同番組のホームページを見ていたらH医師を擁護するコメントが追加。
様々な病院で診断され治療不能と言われたとのコメントも???

気になってH医師のブログを見ると日本眼科学会のコメントへの汚い言葉での反論と、前回の番組で映った断層写真とは似ても似つかぬ写真が‥。(この断層写真じゃあ術前0.1、術後1.0なんて見えないよ。明らかに違う人でしょうね。)
その上加齢黄斑変性の治療薬として認可されていない効果が劣る割に副作用が言われている薬を入れて治療していると堂々と記載しているし‥
ダメでしょ。

加齢黄斑変性の治療の1つである光線力学療法の認定医ですらないので全く専門医ではないんですよねぇ‥

まあ、眼科医の中ではかなり(マイナスの意味で)有名な先生ですけどね。

テレビ局も人を選ばないとね!

レイシックpart1 [病気の話]

レイシックって、タイガー・ウッズがやって、スコアが格段に上がったということから、急に受ける人が増えてきた様に思います。

手技そのものは手順をきちんと行い、受ける側も手順にのっとれば特に問題も無いはずなのですが、まあ、何もしていない眼という訳にはいきませんので、幾つかの問題も起こりえます。

レイシックをした後に起こりえるデメリットをいくつか・・・。


数年前にレイシックを受けたのですが、近視が進んできたようなのでコンタクトレンズを入れたいとの事で受診されました。

レイシックは表層一層残してその下をレーザーで削ることにより角膜表面の曲率半径を大きくすることで焦点距離を変えて近視を矯正するやり方です。

諸説いろいろありますが、出来れば近視が6D以下の方が効果が高いと言われていますが、患者さんの要望が強いからとレーザーで削る量を増やし、近視強い方でも矯正しようと試みる開業医の先生が居るのも事実です。

人間の目には内圧があり、角膜中央が薄くなりすぎると内圧でその部分だけ曲率半径が小さくなってしまう現象が起きることがあります。

基本的には角膜厚が一定以上薄くならない様に計算して削るのですが、人間には老化現象があります。

理論上では角膜厚が大丈夫であっても、それは健康な成人のデータのみ。

老化した角膜での必要な角膜厚のデータはありません。

この方は60代の女性でしたが受診された時、7Dと3Dの近視でした。

レイシック直後は裸眼で運転が出来たそうです。

いろんなことが人間の眼には起こりますね。


花粉症とコンタクト [コンタクト]

花粉の季節がやってきました。

自分自身も花粉症なので、すごく敏感にわかります。

ドライアイもあり、かなりつらいのですが、幸い、コンタクトのお世話になる眼ではないので、何とか凌げています。


花粉症の時コンタクトをするか…。

たまたま、知り合いの先生が日本でも有名なコンタクトの権威なので、聞いた話です。

軽度の自覚症状や所見であれば、現在使用中のコンタクトに点眼を早期からしていれば、あまり問題が無い。(一般に従来型のソフトコンタクト以外は、病院で出す薬に限るとコンタクトレンズの上からさしても問題ないようです。)

それでも我慢できない位の症状になったり、中等症の所見が出るようであれば、頓用の低容量ステロイドの点眼か、使い捨てそれも使用期間がなるべく短いもの(一日交換のレンズがベストです)に変更していく。

春季カタルと言われる様な重症になった時はコンタクトレンズを中止して、眼鏡にする。

という感じです。


症状の強い方はかかりつけの先生に一度ご相談下さい。


レイシックと老眼 [病気の話]

最近、一般診療していてよく遭遇するのが「レイシックしたんです」という言葉。

レイシックが一般普及してから数年経ち、タイガー・ウッズがやってからより普及してきた様です。

でも、不満も良くあるようですね。


昔、強度近視(近視が15D程あり、白内障も有ったためl矯正視力0.1位になっていた方)の方の白内障の手術をするとき、「眼鏡が無いと何にも見えない状態では生活が大変でしょうから、近くで字が読める程度の度数にしましょう。」と説明していました。

眼前20cmにピントが合う眼内レンズの度数で計算し、手術が終了したあと検査してみると少しずれて眼前40cm(あくまで理論値ですが…)に合っていました。

視力は眼鏡無しで0.2、矯正で1.0あるのですが、患者さん曰く「近付けると見えないんです」と。

たしかにもとは眼前5cm位に近付けないと見えなかったので、その癖が抜けないとのことでした。

「ちょっと離せば見えるんですが…」と。

やはり、近視で長年生活している人はライフスタイルを変えるのはかなり困難なようです。


シニアの皆さん、レイシックではこんなことが起こることがありますよ。


カラーコンタクトレンズとMRI [コンタクト]

最近良く『瞳がくっきり見えるコンタクト』としてテレビで宣伝しているレンズがありますよね。

以前から問題になっている不認可の装飾用コンタクトも含めて、他にも認可不認可含めていろいろなカラーコンタクトがあります。

年齢的に若い方であれば病院で検査が必要な方も少ないとは思いますが、最近コンタクトの診療をしていて、50台や60台方でもカラーコンタクトをしていらっしゃる方をお見かけします。


そのような方への警鐘です。

MRIという磁気を使った断層写真を撮る検査はご存知でしょうか?

最近の機器は撮影能力向上のため、磁場を強めた機械が主流になってきております。

刺青やアートメークと言われる様なものの中に含まれる金属成分が磁場の影響を受けて火傷を負う場合があります。

それと同じことがカラーコンタクトで起こることがあるようです。


先日医療機器安全委員会なるところからその旨の連絡が入りました。

MRIを受ける際には必ずコンタクトレンズは外して受けてください。


気を付けて下さい、コンタクトレンズの購入方法 [コンタクト]

皆さん、コンタクトレンズ何処で買ってますか?最近、コンタクトレンズが高度医療機器に指定されて、かなり厳格な販売方法の規格が作られたのですが、実際には、眼科専門医の診断の上という条項は無い上に眼科でコンタクトレンズを販売してはならず、入り口を別にしなくてはならないというわけのわからない条項が入っただけでした。

以前から問題にもなっているのですが、かなりの人が購入している安売りのコンタクトレンズ屋さんの診察室に座っているのは、実は殆どが耳鼻科、整形外科、皮膚科等他科の先生が、バイト代欲しさに使えもしない器械を使って診察するふりをしているだけなのです。


医者って、学校卒業して国家試験通るまで、全ての科目を勉強するから別に眼科医じゃなくてもみんな同じように診断できるのでしょうなんて思っていませんか?ところが、普通に考えると眼科って医者の勉強の内容から考えるとかなりマイナーな教科です。つまり、センター試験に社会とらなきゃならなくてとりあえず世界史とってみたけど、勉強しなかったなぁって記憶ありませんか?(ちなみに私は共通一次だったので世界史もとりましたが…)それと一緒で、”捨てる教科No.1”ではないでしょうか。つまり、殆どの医者が眼科なんて覚えていないんです。

まして、眼科医が使っている診察器械って結構コツがつかめないと使えないんですよ。一般に貴方があごを乗せて反対から医者が顕微鏡みたいなので覗きこんでいる器械は実際には生体顕微鏡といって顕微鏡なんですが、両目で見て立体的に見なきゃいけないのに、なかなかそれまでの生活で両目で立体的に見るって云う状況、普段の生活に無いですよね。慣れないんですよ。特に拡大率を上げれば上げるほど。普通の診察に使える程度の拡大率で診察出来るようになるには毎日やってても最低でも3ヶ月程度はかかります。ましてや。眼底検査なんて、忘れもしません、私達の研修医時代、丸1年かかっても所見が取れない医者が何人か居ましたよ。(勉強不足の医者は4~5年たっても診察できていない人は結構居ますが…)

そんなことが週に1回とか月に1回のバイトで出来るはずが無いんです。結局医師(いや、眼科医の診察を受けないまま、レンズが作れて買えちゃうんですよ。コンタクト入れたらいけない人とか、かなり重症の病気を起こしてる人とかも買っちゃって、結局障害が残る人とか居るんですけどね。


まあ、こんなこと云っちゃいけないんでしょうが、どうしてもお安く購入しようと思ったら、まずはちゃんとした眼科を併設した場所でコンタクトを購入する。(出来れば安売り屋さんに併設したところは避けたほうが無難でしょう)

あとは、使い捨てレンズなら安売り屋さんで同じ度数のものを購入する、多少度数を変える等はOKだと思います。ただし、必ず3ヶ月に1度程度眼科(別にコンタクト作れるところじゃ無くてOK)に行って、コンタクトレンズと目の検診を受けるべきでしょう。

それから、ハードレンズや使い捨てでないソフトレンズはまず間違いなくちゃんとしたところで作るべきだと思います。

定期健診を勧めない病院は駄目な所だと思ってください。

今や、自分の身は自分で守らないとね


二重まぶたしたいですか? [病気の話]

皆さん、二重まぶたって憧れますか?

最近のプチ整形ばやりで結構幅広い年齢層に二重にする手術がはやっているようですが、その時、副作用の説明って受けていますか?結構副作用があるんですよ。


主な手術の方法はまぶたの裏から表へ糸を通して締めることでつくる二重まぶたです。きちんとした先生なら、表も裏も皮膚や粘膜の下に埋め込む(埋没)のですが、たまに表は埋め込んでも裏は出しっぱなしという方があります。そうすると、

角膜障害(糸が黒目に擦れて傷つくと体の中で一番神経が敏感な部分のためコロコロチクチクして、”何か入ってるみたい”と受診されます。)

をおこします。

また、埋め込んでもらっても、あんまりきちんと消毒しなかったりすると、糸から感染(ばい菌が付着)して、

角膜感染症(黒目にばい菌がついて炎症をおこします。神経が敏感なためとても痛く、また白目も真っ赤になります。手術直後は抗生物質等をもらうので起きませんが、手術して数ヶ月後あたりに出てくることが多い)

をおこします。

この両方ともまぶたをひっくり返さないと診断が出来ないのですが、二重まぶたの手術の後はひっくり返しにくいんです。

挙句に私の目は二重まぶたの手術をしてあるので、絶対ひっくり返さないで下さい。糸が切れてしまいます。”とおっしゃる方もいます。多分手術した病院の先生が仰ったのでしょうが、はっきり言って、ひっくり返しにくいまぶたをひっくり返さなくて良いと言われればこちらは楽なんです。でも、しないと原因わからないし、それにその程度で切れる糸なら手術方法が悪いので、やり直さないと駄目なんですよ。

あなたの言うとおりにひっくり返さない先生が良い先生だとは決して思わないで下さい。

(蛇足ですが、あなたの言うことが100%通る医者は藪医者です。一番良い医者は病状を説明し、検査の必要性を説明し、治療の必要性と他の選択肢を提示して最後の決定をあなたに任してくれる医者ですよ。)


あとは糸の感染がひどくなり、縫った部分全部に菌がまわってひどくなると

眼窩蜂窩織炎(目の入っている骨のくぼみ(骸骨なんかの目の部分)に当たる組織全てに炎症が及んで腫れてきて目が飛び出てきたり、最後は視神経までやられて見えなくなります。)

になります。かなりシビアな状態です。

縫い方がきつすぎてまぶたが閉じなくなり、

兎目<トガン>(まぶたが閉じないために本来涙で常に潤さないと傷ついてしまう黒目が傷つき、コロコロチクチクします。)

等等、いろんなことが起こります。


皆さん、気を付けて下さいね。


音も無く忍び寄る影”気づかない間に進行する視野障害(緑内障)” [病気の話]

緑内障って言葉ご存知ですか? 古くは’あおそこひ’といわれていた病気です。

良く、人間ドックに行くと’眼圧’を測りますとか、’眼底写真’を撮りますって言いますよね。あれの殆どが緑内障の検査に使っているのですよ。


緑内障は端的に言うと”眼圧が上がって、視神経が障害され、それにより視野(片目で真直ぐ物を見た時に見える全範囲)が傷害されていく病気”です。

でも・・・、眼圧の上がらない緑内障もあるのです。その為、人間ドックですら見つからず、気づいたら”新聞の行を飛ばして読んでしまう”なんてなってしまうのです。

特に最近多治見市で壮年期以降の方を全員検診した結果(多治見スタディと言って結構眼科医では常識になっています)40歳以上の方の17~18人に一人が緑内障との結果が出ています。


視神経は脳神経の一つなので、一度傷害されると元に戻すことは出来ません。

その為緑内障の治療は早期発見、早期治療です。早期発見の手がかりは『40歳越えたら眼科受診を!』です。

さっき言ったように眼圧だけでは分からない緑内障もあるので、ぜひ、”眼底検査”を受けて下さい。(写真は緑内障の眼底写真)


とりあえず最初のコメント

眼科医になって10数年、結構一杯ホームページあるけど、なかなか一般の人に良く分かるの無いですよね。

質問にもほとんど答えてないようなので、簡単に記載できて、簡単に聞けるホームページを作ろうと思ったんですが、如何せん、私立病院の眼科部長をしてるとなかなかまとまった時間が無い。

って事で、一番手軽なブログに手を出してみます。

聞きたいことがあれば気軽に。但し、茶化したりするような内容は無視しますよ。


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